腸が腐ってちゃ、なにをやってもダメよ

file#33 胸やけは胃酸が少ないのが原因だった?

腸活エキスパート薬剤師の
ミッチー(@GooodGut)です。

ドラッグストアを見渡せば
胃腸薬のラインナップが
充実していることに気づく。

市販薬の売上の中では
胃腸薬は風邪薬、目薬に続いてTOP3に入る。

それだけ胃の不快症状に悩んでいる
日本人は多いってことだ。

市販の胃薬には
たいてい制酸剤が含まれている。

制酸剤とは胃酸を中和する成分のことで
箱の裏には〇〇〇マグネシウムとか
〇〇〇カルシウム、〇〇〇アルミニウムと
書かれている。

より強力な胃酸抑制剤のH2ブロッカー
という成分が含まれるものもある。

これらの成分は即効性があるので
慢性的な胃の不調があると
長期間にわたって服用することも多い。

胸焼けの本当の原因は?

一方でアメリカの医師である
ジョナサン・ライト博士は
このように述べている。

私の患者で、胃液が少なかったり、
まったく分泌されていない人には
次のような症状がよくみられる。

・おなかが張る
・やたらとゲップが出る
・食直後に胸やけがする
・胃の中の食べ物が消化されていないように感じる
・すぐに満腹感を感じ、少量しか食べられない。

全体的には便秘がちの人が多いが、
中には下痢しやすい人もいる。
便秘も下痢もほとんどしない人もいる。

ジョナサン・ライト博士の新・栄養療養より

制酸剤を飲むと胸やけが治まるのに
胃酸が少なくても胸やけを感じる
ってどういうこと?
と思う人もいるかもしれない。

ライト博士のこの本は
20年以上前に書かれた本だが、
最近の研究でこれらのことを裏付ける
新事実が明らかになった。

胃酸が少ないと小腸に細菌が増える

腸内細菌が最も多く住んでいる場所は大腸だ。

一方で小腸には同じ腸でも
大腸の10万分の1程度しかいない。

その理由のひとつが胃酸にある。

口から入ってきた細菌は
胃酸でほとんどが死滅する。
だから胃のすぐ下にある小腸は
細菌が定着しにくい。

しかし、胃酸が少なくなると
小腸に細菌が住み着きやすくなる。

小腸でエサにありついた細菌は
ガスを大量発生するので
腹部膨満感やガス腹など
不快な症状を感じることになる。

大腸で発生したガスはオナラで出るが
小腸のガスは行き場がなく、
胃に逆流する場合がある。

これが胃酸と一緒に口の方に噴出し
胸やけやゲップを感じるというわけだ。

このように小腸に細菌が増えた状態のことを
小腸内細菌過剰増殖症、SIBO(シーボ)という。

少量しか食べていないのに満腹になったり、
食後すぐにおなかが張ってきたりした時は
SIBOを強く疑う。

過敏性腸症候群とSIBOは親戚関係

過敏性腸症候群は
検査で異常がないにもかかわらず
便秘や下痢、腹痛などに見舞われ
生活の質が著しく低下する病気だ。

日本でSIBOの第一人者でもある
江田証医師によれば
過敏性腸症候群の85%は
SIBOを併発しているという。

過敏性腸症候群の患者は
年々増加傾向にあるというが
胃酸を補助するという治療法も
案外有効かもしれない。


ミッチー

「腸活」で日本を元気にしたい薬剤師です。 詳しいプロフィールはこちら