腸活エキスパート薬剤師の
ミッチー(@GooodGut)です。
時々、うちのミニチュ・アシュナウザーは
前触れもなく吐くことがある。
最初のうちは
よくわからなくて
散歩中に変なもの食べたのではないかとか
エサが悪かったのかと
あれこれ思い悩んだものだ。
嘔吐するかどうかは小腸と脳との
情報交換によって決定されている。
口から異物が入ってくると
小腸のセンサーが異常を検知し、
神経ネットワークを使って脳に信号を送る。
脳はこの小腸からの信号によって
吐くか・吐かないかを判断している。
つまり胸のあたりをムカムカさせて
これ以上異物を体内に入れないようにするのか
いち早く体外へ排泄した方がいいのかは
小腸が決めているのだ。
そして一旦、嘔吐すべきだと決定されると
全身の見事な連携プレイがはじまる。
まず、不意な出血を避けるために
心臓の動きを低下させ、血圧を下げる。
顔面蒼白になるのはこの時だ。
続いて胃酸から歯を守るために
大量の唾液を分泌させ、
吐いたものでノドが詰まらないように
気道をふさぐ。
全ての準備が整ったら
横隔膜と腹筋を下から上へ一気に突き上げて
胃の内容物を体外へ排出するといった具合だ。
これを知ってから
愛犬が急に嘔吐しても
その後の体調に異常がなければ
正常な反応なんだと
安心して見ていられるようになった。
ちなみにネズミやウサギは
嘔吐する能力を持っていない。
彼らは食べ方を工夫することで
異物が体内に入ってくるのを防御している。
彼らは食べ物を丸のみせず
ポリポリかじりながら飲み込む。
唾液中にはIgA抗体という抗菌剤が含まれていて
唾液と食べ物を混ぜ合わせることで、
ばい菌が体内に侵入するのを防いでいる。
また慎重に一口づつ飲み込むことで
仮に毒素が含まれていても
被害を最小限に抑えられるというワケだ。
愛犬がエサを食べる姿を見ていると
ほとんど丸飲みだ。
何かを咥えたり
大きなものを食いちぎったり
骨をガリガリするときぐらいしか
歯を使っていない気がする。
何とかエサをよく噛んで食べてもらおうと
エサを工夫してみたが、せいぜい2-3噛みぐらい。
そう考えると、
よく噛むこともできて
吐くこともできる人間は
すごい能力を持ってるなと感じる。
それに感謝しつつ
歯がしっかりあるうちは
噛むということを味わいたいものだ。