腸が腐ってちゃ、なにをやってもダメよ

flie#34 家族の腸内フローラが似てくるワケ

家族

腸活エキスパート薬剤師の
ミッチー(@GooodGut)です。

昨日は毎月楽しみにしている
臨床分子栄養医学研究会
オンラインセミナーだった。

せっかくの内容を
アウトプットしないともったいないので、
特に面白かった点を記録に残しておこうと思う。

腸内フローラ移植とは?

講師は日本の腸内フローラ移植界で
第一人者の城谷昌彦先生

腸内フローラ移植とは
糞便微生物移植(FMT)とも言って
最先端治療として注目されている。

早い話が、
健康な人のウンチ液を浣腸して
悪くなった腸内フローラを総取り換えしてしまおう
という究極の腸活だ。

ウェーっと思うかもしれないが、
古くは紀元前4世紀の中国には
重症下痢食中毒患者に施されていたり、
2014年にはアメリカで
C・ディフィシル菌感染症という難病に対して
第一選択治療に認められたりしているそうだ。

最近では潰瘍性大腸炎や過敏性腸症候群、
アトピーやうつに対しても研究が進んでいるとのこと。

腸内フローラの悪化がこんなところにまで
影響を及ぼしているのかと改めて実感した。

腸内フローラは脳の発達にも不可欠

腸内フローラ移植は治療だけでなく、
実験にも応用され
腸内フローラの働きが明らかになってきている。

例えば実験的に
腸内フローラがいないマウスを作ると
通常のマウスよりも情緒不安定で
攻撃的な性格になる。

そこに通常マウスのウンチを移植すると
落ち着きを取り戻し
神経細胞の成長を促す脳由来成長因子
という物質も増えたらしい。

つまり脳の成長にとって
腸内フローラの存在は必要不可欠
ということだ。

https://www.yakult.co.jp/healthist/242/img/pdf/p02_07.pdf

最近物覚えも悪くなっているし
体調も良くなるんだったら、
腸内フローラ移植を試してみようかな?
という気になってきた。

マウス

腸内フローラ移植の問題点

そんな夢のような腸内フローラ移植治療にも
いくつか問題点がある。

ひとつは自由診療で高額なこと。
日本では腸内フローラ移植は保険適応になっておらず
100万円単位の治療費がかかる。

気軽(?)に受けられるようになるには
もう少し時間がかかりそうだ。

ふたつ目はいくら良い菌を移植しようとしても
定着しないことがあるということ。
定着しなければ効果は半減してしまう。

これについては以前この記事にも書いた。

確かに考えてみれば
これだけ重要な働きをしている腸内フローラが
簡単に入れ替わってしまうってことは、
他の菌にも感染しやすくなるってことだ。
つまり免疫力の低下にもつながってしまう。

なかなか難しい問題だが、
これに関しては特許技術を用いて
定着率を上げるように工夫しているそうだ。

自宅でできる腸内フローラ移植?

講演の中で特に面白かったのが
家族の腸内フローラが似てくるという話。

これまで赤ちゃんの腸内フローラは
母親の産道を通るときや
授乳時に母乳と一緒に母親の皮膚の常在菌も
一緒に摂取することによって
受け継がれると考えられてきた。

それが日本人においては
母子間に限らず家族間(父子間や夫婦間)でも
腸内フローラが似てくるらしい。

その原因の一つが
日本人特有の”入浴”という習慣。

森永乳業とアイルランドコーク大学との
共同研究によれば

  • 入浴後の湯舟に被験者と
    共通の腸内細菌が存在していた。
  • その湯舟には生きたビフィズス菌も
    検出された。
  • 子供と一緒に入浴する家族とそうでない家族
    では前者の方が共通の腸内細菌が多かった。

という実験結果が出たそうだ。
論文の詳細はこちら

日本人は入浴という習慣をとおして
無意識のうちに腸内フローラ移植をしていた
ってことになる。

腸内フローラは幼児期に決まってしまう
と言われているが、
腸内フローラの多様性を形成するうえでも
スキンシップは大切だということですね。



ミッチー

「腸活」で日本を元気にしたい薬剤師です。 詳しいプロフィールはこちら